COVID-19:
歯科用エアロゾルについて
EMSからのご案内
重度の急性呼吸器症候群コロナウィルス2(THE SARS-COV-2)によって引き起こされている、世界的な流行病、コロナウィルス疾患2019(COVID-19)は、歯科医療に大きな課題を提起します。
ウイルスは口、鼻、喉から検出される可能性がある為、歯科治療由来のエアロゾルがその要因の一つとなりうる可能性があります。エアロゾルについてご参照頂ける情報を共有させて頂きます。
主な感染経路は飛沫感染です。参照文献1
最近の研究によると、今までの社会生活環境下ではエアロゾルを介した重度の急性呼吸器症候群コロナウィルス2の感染を回避できない可能性が懸念されています。現段階では、専門家の方々の意見も様々です。参照文献2
エアロゾルは液滴やスプレーミストとは異なります。
粒子が50μm未満と小さいため、数メートル離れたところまで飛散し、空気中で最大30分検出可能です。参照文献3
どうすれば歯科用エアロゾル感染を軽減できるのでしょう?
クロルヘキシジン溶液を用いた術前の洗口を30~60秒間使用するとエアロゾル中の細菌負荷が最大70%減少することが文書化されています。参照文献4.5.6
約1%のポピドンヨードを含む洗口剤も有効だとされています。参照文献8
それぞれの治療開始前に1.5%過酸化水素水もしくは1%ポピドンヨード溶液を使用した60秒間のうがいと洗口をお奨めします。参照文献2
30分後にも同様にうがいと洗口をしてください。
口と鼻を保護できる大きさのマスク、ゴーグル、フェイスシールドを正しく使用し、歯科用器具を効率的、かつ安全に滅菌することが必要不可欠です。
エアフローおよびピエゾンハンドピース、そしてピエゾンチップも処置後は滅菌をしてください。
消毒液での表面清掃、吸引装置の洗浄は必ず実施してください。
治療室の換気も、強く推奨されています。参照文献11
エアロゾルの生成をどのように軽減できますか?
一般的に治療で使用されるモーター用のコントラアングルとタービンハンドピース、音波および超音波器械、3ウェイシリンジ、エアーポリッシング器械などの歯科用器具・器械がエアロゾルを発生させます。参照文献12
最適な排唾管の併用と組み合わせて、少なくとも毎分300ℓの空気吸引量のある口腔内バキュームを使用すると、エアロゾルの生成を効果的に軽減できます。参照文献12.13
フォーハンドでの治療は最適な吸引が可能です。参照文献14
ツーハンドにおける歯面清掃では、適切なバキュームテクニックと同時に簡易的防湿ラバーダムを併用して頂くとエアロゾルの発生を軽減できることにつながります。
その他情報と推奨事項
バイエルン州歯科院とバイエルンの法廷健康保険協会の歯科医師は「歯科治療:COVID-19にも関わらず歯科診療ではリスクは増加しない」と安心感のある言葉で患者の診療に対処しています。(B)
新しいコロナウィルスSARS-CoV-2の特徴は、長期にわたり症状が持続し、まるで恒常性を保つバイオフィルムのようです。患者様の歯の健康のためにGBTがさらに貢献できる日を心待ちにしています。
そして何よりも皆様の健康を祈念いたします。
令和2年4月29日
Prof. M. Mensi Prof. em. Dr. med. dent Dr. med. dent. Dr. med. dent.
DDS, Dipl. Chem. Ing. ETH S. Wildgen K. D. Bastendorf
Brescia Adrian Lussi Munich Eislingen
Bern
B. «Dental treatment: No increased risk in dental practices despite Covid-19».
2. https://www.rki.de/DE/Content/InfAZ/N/Neuartiges_Coronavirus/Steckbrief.html
11. Izzetti R, Nisi M, Gabriele M, Graziani F (2020) COVID-19 Transmission in Dental Practice: Brief Review of Preventive Measures in Italy. J Dent Res 17:22034520920580. doi: 10.1177/0022034520920580
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COVID-19による危機的状況下における非外科的歯周病学の管理